金型メール通信

[金型メール通信] 2003/11/10号


□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
            <<< 金型メール通信 >>>

●2003/11/10号
●登録読者1,429アドレス
●目次
 ・金型くんのひとりごと(日本の金型業界値戻し最後の機会)

 ・アジアにおける金型供給構造と日本の金型産業(その3)
  −中国、台湾、韓国、日本の金型産業の現状比較から−

◆「金型メール通信」無料購読登録・購読停止・過去発行分を見る
  http://news.east.jdmia.or.jp/
◆「金型ホームページ」(金型企業紹介その他金型専門サイト)
  http://www.east.jdmia.or.jp/
◆「金型ヒントフォーラム」(金型に関する情報交換広場)
  https://hint.east.jdmia.or.jp/
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆金型くんのひとりごと(日本の金型業界値戻し最後の機会)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ちっぽけな金型屋のひとりごとです。


 日本の金型業界値戻し最後の機会−最低価格と適正価格−

・我々金型企業はユーザーの開発部門として大きなリスクを負っている!
・そのリスク分は金型価格に反映されなければ企業存続はできない!

 近年、我々日本の金型企業は、ユーザーからの強い要求により企業存続に
最低必要な価格(最低価格)以下で金型を製造してきました。
 しかし、それは既に企業存続自体が難しい限界に達しております。
 今後は、ユーザー様並びに自社の従業員そしてその家族のために、企業存続
に最低必要な価格(最低価格)を要求させていただくこととさせていただきま
す。

 本来、金型は、量産品を生産する所が自ら使用する道具として自らが製造す
るのが基本です。
 しかし、金型を製造するには、熟練技術者・技能者の育成、さらに高価な
設備を必要とします。一方、金型は新製品開発時に限り基本的には一つだけ
必要とするツールであり、自社内では常に需要があるわけではございません。
 そのため金型を使用する側が自社使用分だけの金型を製造するために、金型
製造部門(内製部門)を社内に保有することは、非常に効率の悪い赤字部門と
なり大きなリスクを負うことになるので、一般的には外注によって自社が使用
する金型を取得しているのです。

 その大きなリスクを負わされている我々金型企業が、そのリスクの一部を
発注者側にご負担頂くことはビジネスとしては当然の要求であると考えます。
 そして発注者としてご負担頂くリスクを現在の金型価格に上乗せした価格が
最低価格であると我々金型企業は考え、発注者様に要求することとさせて頂き
ます。
 もし、この最低価格もお認め頂けない場合は金型企業は存続できません。

 また、金型には適正価格という言葉があります。
 発注者様がトータルコストの面で今以上に儲かる金型を製造するために必要
な価格が適正価格です。
 これからのグローバル化の時代、日本の企業にとって開発部門並びに開発費
は大変重要な戦略要因であることは誰もが認めるところでございます。
 その重要な開発部門の一つが外注先である金型企業であり、開発費の一部が
金型外注費です。

 本来、金型は前述の通り、量産品を生産する所が自ら使用する道具として
自らが製造するのが基本です。また、金型の良し悪しによってその生産能力・
品質・コストは大きな影響を受けます。量産品を生産する所にとって金型ある
いは金型製造というものは大変重要な開発部門の一つということにもなります
。
 しかし、そのような重要な部門であっても社内に金型の内製部門を持つこと
は大きなリスクを負うことになるので、一般的には外注によって自社が使用す
る金型を取得しています。すなわち発注者側にとって金型企業は外注先であり
大変重要な開発部門でもあるのです。そのため外注費である金型費用は発注者
側の開発費用と位置付けられます。そのような考えに基づき決定される開発費
用イコール金型価格が適正価格ということになります。
 これからのグローバル化に立ち向かう金型ユーザー企業にとって、開発部門
並びに開発費をどのように位置付けるかが大変重要な戦略要因であり、それを
決定するのは企業トップの責任であると考えます。

 以上のこと、本当はお得意先に言いたいのですが、一金型企業じゃとても
言えないのが現実です。
 しかし、この考え方って間違っているでしょうか?
 このように考えるのは私だけでしょうか?

・・・おわり
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆アジアにおける金型供給構造と日本の金型産業(その3)
  −中国、台湾、韓国、日本の金型産業の現状比較から−
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 この論文は国民生活金融公庫総合研究所が発行している「調査季報第62号
(2002年8月)」に掲載されたものです。
 この度、発行者である国民生活金融公庫総合研究所、執筆者である大阪経済
大学の斉藤栄司教授のご協力を頂き転載許可を頂き掲載しております。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

2.モジュール部品の実現と組立工程合理化の戦略的ツール

 金型は近年の複合・モジュール部品の開発において、その戦略的重要性が
能動的になっている。情報機器に典型的なように商品の成熟度が高まるにつれ
て、消費者のニーズの変化が速くなり、新しいニーズに素早く対応しないと
商機を逸することになる。後発工業国製品との価格競争もますます厳しく
なっている。
 そこで、完成品メーカー間の生産リードタイム短縮競争、価格競争にも拍車
がかかっている。リードタイム短縮では、組立工程の編成替えで組立効率の
一層の向上を図ると同時に、組立工程の絶対的な削減が追求されている。
 その重要な解決策の一つは複合金型の開発である。これまで複数の金型で
別個の部品として成形し、それらをサブアセンブリーによりユニット部品とし
ていたものを、複合金型の開発によって1個の部品(モジュール部品)として
一気に成形することが可能になった【4】。
 それにより、複数の金型発注に伴う時間とコストが削減され、かつ複数の
金型への支払い代金の合計よりも複合金型1組の代金は安くなる。しかも上記
のように、サブアセンブリー工程が削減されて総組立時間が短縮される。複合
金型の開発は部品点数・組立工程の削減、コスト削減など多面的に貢献し、
その戦略的意味は完成品メーカーにとって非常に大きい。その開発には、複合
前のそれぞれの金型生産の全工程に熟知していることが必要であり、高度な
経験の蓄積が求められる。

【4】自動車産業の業界用語と化した「モジュール化」の意味については自動
車部品工業会『日本の自動車部品工業1999/2000年版』の「3.グローバル化
の中で試される自動車づくりの其の実力」を参照。

3.金型生産と自立的製造業の確保−日本、NIEsの経験と後発工業国−

 以上のように二重の意味で、金型は製造業、特にそのリーディング産業を
成す電気・電子機器や自動車などの組立機械産業にとって戦略的に重要なマザ
ーツールであり、金型産業は戦略的基盤産業の一角に位置付けられる。
 日本が80年代末に自動車生産で米国と肩を並べ、製造業で世界の頂点に
立ったと評価されるに至った重要な根拠の一つは、総合力でみて世界第1位と
いわれる金型産業を国内で発展させ得たことにある。同様に、台湾、韓国、
香港、シンガポールもそれぞれ一定規模の金型産業を国内につくり上げ、
80年代後半にアジアNIEsとして工業国入りしたのである。これら先行国に
ならって工業化を推進しようとしているASEAN諸国や中国が、金型生産技術・
金型産業の育成に特別な注意を払っているのは当然である。自前の金型産業の
発達があって初めて自立した国内工業が成り立つからである。
 金型の生産能力を国際的に正確に確認できる資料はない。
 しかし、大ざっぱな推計が試みられている。それによれば、円換算で日本が
約1兆5、000〜8、000億円程度、韓国と台湾がそれぞれ2、100億円、中国が
3、500億円、米国が4、800億円、ドイツが3、800億円、イタリアが2、000億円
ほどの生産能力をもつと推測される【5】。先進工業国はそれぞれの製造業
規模に見合う規模の金型産業を有しているが、日本は突出した金型生産国で
あり、それはアジア地域が世界の生産基地になっていることと関連があると
いえよう。次節から、中国、台湾、韓国、日本というアジアの主要な金型生産
国の近況をみていくことにしよう。

【5】米国の数値までは各国公式統計を円換算。ドイツ、イタリアはISTMA
(国際金型協会)資料による。各国統計もISTMA資料もその対象範囲が統一
されておらず、ISTMAは各国の申告数値で必ずしも正確ではない。
黒田彰一ISTMA会長は「金型の世界市場と新市場」(『精密工学会誌』1993年
7月号)のなかで、当時の世界の金型市場の大きさを約6兆5、000億円と推計し
ている。(次号に続く)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●この金型メール通信に掲載したい情報がある時は、掲載内容をテキスト形式
 で下記のメールアドレスまでお願いします。
 メールには、先ず「金型メール通信掲載用記事」と明示して、続いて記事
 タイトル、記事内容の順でお願いします。
 尚、出来れば内容の詳細については、指定URLを参照するような形式にし
 て頂けますようお願い申し上げます。
 原稿送付メールアドレス:kanagata-news-admin@east.jdmia.or.jp
 (工業会事務局の中里宛となります)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●このメールの配信取り止め・配信先変更の場合は、下記のURL をご利用
 ください。尚、配信先変更の場合は、恐れ入りますが、購読停止の手続きを
 行った後に、再度、新しい配信先メールアドレスで購読申込み手続きを
 行って下さい。http://news.east.jdmia.or.jp/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●過去の金型メール通信を読みたい方は、下記のURL をご利用ください。
 http://news.east.jdmia.or.jp/kanagata-news/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行者/社団法人日本金型工業会東部支部事務局 中里 栄
    kanagata-news-admin@east.jdmia.or.jp
    電話03-5688-1455 FAX03-5688-1456
    東京都文京区湯島2-33-12金型年金会館1階 
    金型ホームページ:http://www.east.jdmia.or.jp/
    金型ヒントフォーラム:https://hint.east.jdmia.or.jp/
    創刊:2000年8月21日創刊号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Copyright © 2000 社団法人日本金型工業会 東部支部
このページに関するご意見,お問い合わせは,こちらへどうぞ.